2022年1月26日に
ヴィタリック・ブテリン氏のブログ
で発表された
「Soulbound」
直訳は
「魂をバインドする」
目下この考えをベースにした
SBT(ソウルバウンドトークン)
に注目が集まる。
筆者自身、
ぶっちゃけよくわかってないが、
世の中を大きく変えてくれそうな
可能性を秘めていることは
何となくわかる。
本稿では
ヴィタリック氏のブログを
翻訳(DeepL)、
「Soulbound」の源流を探る。
以下翻訳本文。
「Soulbound」
世界的に有名なMMORPG、
World of Warcraftには
「魂が宿ったアイテム」
という概念がある。
そのアイテムは
一度手に入れると、
他のプレイヤーに譲渡したり
売却したりすることはできない。
入手方法は複雑なクエストを完了するか、
非常に強力なモンスターを倒す必要がある。
多くのプレイヤーと協力しながら
自らのスキルを磨きに磨いて、
ようやくレアな武器や防具を
手に入れることができる。
「レア装備を手に入れるために
複雑で困難なタスクを課す」
この仕組みの目的は明確だ。
ゲームとしての面白さを高め、
ユーザーを熱狂させるため。
1日10時間、
1年間ザコを狩り続けて
ひたすらゴールドを集め、
最強の鎧を買う。
というわけにはいかないのである。
しかし、現時点においてこのシステムは不完全だ。
お金を払って
プロフェッショナルなチームに
ドラゴンを倒してもらうこともできるし、
引退したアカウントを購入することで、
歴戦の強者のように振る舞うこともできる。
それでも値段のつかないアイテムの存在が、
ゲームを面白くすることは明白である。
もし、NFTに「魂」が宿るとしたら?
現在のNFTは
MMORPGにおけるレアアイテム
と同じような性質を持っている。
NFTを持っている人は
それを見せびらかすことができる上、
それを支援するツールもどんどん増えている。
Twitterは自分の写真プロフィールが
NFTであることを
アピールできる機能を解放している。
現時点においてNFTは
一体何を意味しているのだろうか。
まずNFTを入手できるスキルを持っていて
どんなNFTを獲得すべきかを
知っているというセンスを
アピールすることが可能だ。
そして何より、
NFTは取引可能という特性をもち、
それはすなわち、
「富を示す」ということになる。
チャリティとNFTは非常に相性が良い。
慈善団体を支援するNFTの場合、
セカンダリマーケットが成立する
という文脈において
慈善団体を助けている。
しかし、
誰かが「X」をすることで得られるNFT
を持っていた場合、
その人が自分で「X」をしたのか、
それとも誰かにお金を払って「X」をさせたのか
を判断することはできないのだ。
NFTが富を示すだけでなく、
実際に何か他のことを示すとすれば
どのようなアプローチが考えられるだろうか。
この点について、
最も良い例がPOAPだろう。
POAPは
「所有者が個人として
何かのイベントに参加したことを証明する
NFTの標準規格」
だ。
誰かがあなたのPOAPを見るとき、
その人はあなたがだれに
お金を払ったかどうかには興味がない。
あなたがそのイベントに
参加したかどうかに関心があるのだ。
条件を満たさない人が、
条件を満たす人から
証明書を購入することができれば、
その価値は大きく低下するだろう。
運転免許証、
大学の学位、
年齢証明などの証明書を
オンチェーン化する提案も同様である。
譲渡不可能なNFTの
デザインスペースは広く、
未開拓のままだ。
もし、ガバナンスが「魂」に結びついたとしたら?
これは私がこれまで何度も書いてきたテーマだが、
繰り返し述べる価値がある。
ガバナンスの権利が
簡単に移転してしまうと、
ガバナンスに重大な支障をきたす。
理由は大きく2つある。
- ガバナンスの権利を買い占められる可能性。
- 有能ではない人に買い取られることを止められないこと。
「人を治めようとする者は、
治めるのに一番向いていない者である」
ということわざを真に受けるならば、
まさに譲渡可能性は、
統治するにふさわしい人から、
権力欲にまみれた人に
移ってしまうことがある
と疑うべきだろう。
では、ガバナンスの権利を
譲渡できないようにしたらどうだろうか。
より多くの投票権が街に住む人々に行き渡り、
少なくとも確実に民主的で、
大量の市民NFTをため込んでいる
クジラによる不当な影響力を回避できる
CityDAOを作ろうとしたらどうだろうか。
ブロックチェーンプロトコルの
DAOガバナンスが
何らかの形でガバナンス力を
参加条件とすることが
できたらどうだろうか。
現時点では困難でも、
改善すべき意義はある。
譲渡を不可能にする機能の実装について
POAPは譲渡不可とはしないことを
技術的に決定している。
これには正当な理由がある。
ユーザーとしては、
セキュリティの観点から
資産をサブウォレットに
移すことも考えられ、
複数のNFTが入った
アカウントの所有権を
売却することもあるかもしれない。
ゆえに、
NFT単体に譲渡不可の設定をしても、
その機能はそれほど強力とは言えない。
実際、POAPが頻繁に
売買されるケースは多い。
アディダスは
グッズ販売で優先的に
アクセスできるPOAPを
ファンに無償で公開した。
その結果はご想像の通り。
多くのPOAPに入札が相次ぎ、
二次流通が発生した。
この問題を解決するために、
POAPチームは
独自のチェック機能の実装を
模索している。
現在の所有者が
元の所有者と
同じアドレスかどうかを
オンチェーンでチェックしたり、
必要と判断すれば時間をかけて
より高度なチェックを
追加できるのだ。
この方法は、
より将来性のある
アプローチと言えよう。
現時点で
譲渡不可能と言えるNFTは、
proof-of-humanity
すなわち
人間性の証明
なのかもしれない。
理論的には
誰でも所有権を譲渡できる
スマートコントラクトの
アカウントで
プロフィールを作成し、
そのアカウントを
売却することができる。
しかし、
proof-of-humanityの
プロトコルには
取り消し機能があり、
元の所有者が
プロフィールの削除を求めるビデオを作成し、
クレロスが
そのビデオが元の作成者と
同一人物によるものかどうかを
判断する。
プロフィールの削除に成功すると、
新たにプロフィールを
作るために再申請することができる。
したがって、
proof-of-humanityの
プロフィールの
所有権移転は
実質不可能と言え、
事実上のソウルバウンド
と言えよう。
わざわざ人間性の証明に
すべてを基づかせることなく、
譲渡可能性を制限することは
可能なのだろうか。
いくつかのユースケースがある。
ユーザーが自分のENSを移したくない
と仮定すれば、
NFTをENSに結びつけることは、
1つのオプションと言える。
今のところ、
移転可能性を制限するための
様々なアプローチがあり、
プロジェクトごとに
セキュリティと
利便性の間で
トレードオフを
迫られることになるのだ。
非譲渡性とプライバシー
暗号資産には
強固なプライバシーが
付与される。
コインを手に入れ、
tornado.cashなどの
プラットフォームを経由して、
新しい口座に引き出すのである。
しかし、新しいアカウントや
スマートコントラクトに
移動させることができない
ソウルバウンドなアイテム
にプライバシーを追加
できるのだろうか。
もしproof-of-humanityが
より多く採用され始めたら、
プライバシーはより重要になる。
なぜなら、
我々の活動のすべてが
人間の顔に
直接オンチェーンで
マッピングされるからだ。
幸いなことに、
いくつかの
技術的オプションがある。
- インデックス
- 受信者のアドレス
- 受信者に属する秘密のハッシュであるアドレスにアイテムを保存する。
そうすることで
自身の情報は
自分では確認できるが、
他人は見ることができない。
- アイテムの束のハッシュを公開し、各受領者にそのマークルツリーを与える。
- ゼロ知識証明(ZK-SNARK)を利用する。
最もシンプルな方法は、
ゼロ知識証明を利用することだろう。
プライバシーは、
この種のエコシステムを
うまく機能させるための
重要な要素である。
他の多くの場合、
ユーザーは自分の持っているものを
すべて公開したいとは
思わないはずだ。
プライバシーを
設計の中核に据えることは、
非常に重要な概念である。
現在、そして今後
現在の「web3」に対する
一般的な批判は、
「カネ」中心であるということだ。
人々は富を重視し、
そして浪費することを賞賛するが、
これは文化の魅力と
長期的な持続性を制限する。
アーティストや
チャリティーへの
資金供与など
メリットはあるが、
そのアプローチには限界があり、
金融化を超えようとすると、
未踏の領域が多々ある。
しかし
「ソウルバウンド」
させることは、
NFTが単に買えるものだけでなく、
その人自身を表す代替策
への1つの道となりうるのだ。
現在のブロックチェーンエコシステムは
転送可能であることが
普通であるため
転送の制限など、
技術的な課題はある。
またユーザーが
人間性証明プロファイル
のように取引できない、
あるいはENSのように
取引したくない
「IDオブジェクト」
にアイテムを添付することは、
最も有望な方法のように思えるが、
これを使いやすく、
非公開で安全なものにする
という課題が残されている。
我々は、
これらの課題について考え、
解決するために、
より多くの努力をする
必要がある。
もしそれができれば、
ブロックチェーンが
お金だけでなく、
協力的で
楽しいエコシステムになる
ためのより広い扉が
開かれることになるのだ。
以上引用:https://vitalik.ca/general/2022/01/26/soulbound.html